Hasselblad(ハッセルブラッド)は、スウェーデンに本拠を置く高級カメラメーカーであり、中判フォーマットに特化した製品で世界的に知られています。1941年の軍用航空カメラ開発以来、プロフェッショナル用途で高い品質を追求し続け、NASAのアポロ計画で月面撮影にも使用された実績を持つメーカーです。この度、Hasselbladから「X2D Ⅱ 100C」が発売され、同時に新しい標準域のズームレンズ「XCD 2.8-4/35-100E」もリリースされました。本記事では、このX2D Ⅱ 100Cが前モデルからどのように進化を遂げたのか、その核心に迫ります。

こちらの記事でも全体的な解説をしています!

Hasselblad X2DⅡ100Cは、前機種と比較して主に以下の3点で大幅な進化を遂げています。
HDRへの対応強化
X2D Ⅱ 100Cは、シリーズで初めてHDR(ハイダイナミックレンジ)に対応しました。単にHDR写真を撮影できるだけでなく、「2-end HDR対応」として、撮影から表示、そして編集までをHasselbladのシステム内で一貫して行えるようになった点が大きな特徴です。
HDR撮影
新しい「Hasselblad Natural Color Scheme HDR」に対応し、より広い明暗差を捉えた撮影が可能
HDR表示
背面の液晶ディスプレイもHDRに対応。ピーク輝度1400ニト、コントラスト比200万対1という高精細な有機ELディスプレイを搭載し、撮影現場でHDR画像をHDR画質で確認できます。これにより、明るい部分は明るく、暗い部分は引き締まった、より立体感のある画像をその場で体験できます。
HDR編集
Hasselbladと連携する専用アプリケーション「Focus Mobile 2」もHDR画像の素早い編集に対応。これにより、HDRコンテンツ制作のハードルが大きく下がりました。

これらの進化により、従来のモデルでも十分広かったダイナミックレンジがさらに拡張され、表現力が格段に向上しました。
フォーカス性能の飛躍的向上
オートフォーカス(AF)性能もX2D Ⅱ 100Cの大きな進化点の一つです。前機種が採用していた位相差AFとコントラストAFの組み合わせに加え、新たにLiDAR(Light Detection & Ranging)によるAFが追加されました。LiDARはレーザー光を用いて物体までの距離を正確に測定する技術で、これにより非常に正確なオートフォーカスが可能になりました。
さらに、動く被写体に常に焦点を合わせ続けるAFC(コンティニアスAF)425点に大幅に増加しており、動的なシーンでの撮影成功率が飛躍的に向上しています。

AFの向上によって、かなり使いやすくなっていて、
多くのYoutuberの方もこの点を評価していますね
使いやすさの改善
Hasselbladのカメラは「質は最高だが、使いやすさには癖がある」という評価がされることもありましたが、X2D Ⅱ 100Cでは使い勝手が大幅に向上し、他のコンシューマー向けカメラに一歩近づいた印象です。
• 手ブレ補正機能: 最大7段階だった手ブレ補正が、10段階(5軸)に強化されました。これにより、暗い場所での手持ち撮影や、シャッタースピードを遅くしての撮影が三脚なしで容易に行えるようになりました。
• ハードウェア操作系の進化:
◦ 5Dジョイスティック: グリップ部分に新しい操作系として5Dジョイスティックが追加され、フォーカス点の移動など、多様な操作を直感的に行えるようになりました。
◦ カスタムボタンの追加: 従来のモデルから2つのカスタムボタンが追加されました。一つはジョイスティックの下に、もう一つはフロントダイヤルを押し込むことで機能します。これにより、使用頻度の高い機能を割り当てて、撮影効率を高めることができます。
◦ 背面ディスプレイのチルト機能: 前機種では限定的だったチルト機能が大幅に改善。上向きに完全に90度、下向きにも約45度傾けられるようになり、ウエストレベルや高所からの撮影が格段に快適になりました。
これらの改善により、タッチ操作に頼ることなく物理ボタンやスティックで操作できる場面が増え、特に屋外での撮影時における効率性と快適性が向上しています。
その他の注目すべき変更点
• デザイン: 全体的な外観デザインも変更され、オールブラックだった前機種に対し、X2D Ⅱ 100Cはツートンカラー(グレーがかった黒)になり、よりスタイリッシュな印象を与えます。グリップのテクスチャーも変更され、よりリアルレザーに近い質感となっています。
• ストレージ: 1TBの内蔵SSDを搭載しており、CFexpressカードを持っていなくても、本体のみで大容量の画像を保存し運用することが可能です。
• 新レンズ「XCD 2.8-4/35-100E」: 今回同時に発表されたこのレンズは、中判フォーマットで35mmから100mm(フルサイズ換算で約28mmから76mm相当)をカバーする、待望の標準域3倍ズームレンズです。F2.8スタートという明るさも相まって、汎用性が非常に高く、単焦点レンズ数本分に匹敵する強力な一本となっています。
• サブディスプレイ: 右肩には設定情報などを表示するミニディスプレイが搭載されており、電源オフ時でも充電状況を確認できるなど、地味ながら便利な機能です。
• 高精細なファインダー: 非常に大きく見やすい高精細ファインダーも、撮影体験をより豊かなものにしています。
まとめと評価
Hasselblad X2D Ⅱ 100Cは、中判フォーマット1億画素センサーがもたらす圧倒的な描写力や表現力はそのままに、HDR対応、AF性能の強化、そして操作系の改善による使いやすさの向上という点で、前機種から大きく進化を遂げました。本体価格は100万円を超える高価なカメラであり、誰もが気軽に購入できるものではありません。しかし、このX2D Ⅱ 100Cでしか得られない独特の表現力と価値は確かに存在し、プロフェッショナル用途はもちろん、これまでのHasselbladに「使いにくい」と感じていたユーザーにも、新たな体験を提供する一台となるでしょう。